OEM 他社ブランド

「他社ブランドの製品の製造」を表すこととなった製造委託において、以前は競争相手のブランドを製造するということで製品供給側からは敬遠されていた。しかし1980年代にVTR戦争が始まると、VHS陣営である日本ビクターや松下電器産業(現・パナソニック)といったメーカーは他社VHS陣営にVTRを供給するようになる。このVTRの黎明期はまさしく上記の1つ目の市場が立ち上がる時期にOEMが行われていた。
DVDレコーダーなどのデジタルAV機器の普及に伴い、日本国内の家電メーカーの多くは自社生産から韓国や中国などの日本国外のメーカーに製造を委託するOEMに移行していった。
そして2006年現在、VTRの技術は完全に成熟した段階に達しており価格競争を通じて3つ目の市場が衰退する時期を迎えている。この流れはVTRに留まらない。ラジカセ、ブラウン管テレビ、ポケットラジオ、電気ストーブ、トースター、ミキサーといった最先端ではない電化製品の殆どは韓国や中国などの日本国外企業のOEM製品である。
他社ブランドとしてある製造者によって製造され、販売者のブランドで市場に出す製品は必ずしもその製品がOEM製品であり製造者が別の者であることは明らかにされていない。例えば過去にGEブランドのVTRは松下寿電子工業(現・パナソニック四国エレクトロニクス)で製造され、取扱説明書の箱詰めまで行われてGEへ出荷・輸出され販売された。
時代を経て「OEM」が日本語として、または日本の社会において家電業界以外でも用いられるがこの様な意味合いを表すこととなった段階では元来の「独自性」や商品の範囲も「装置」とはかけ離れた事となっている。

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