OEM 形態の多様化と用法

歴史としてコンピュータ製造業者Aに限らず、各種の機器を製造する者が差別化戦略や販売戦略として「OEM」への転換を業者Bに促す方法が次第に広まってゆく。 ほんの一例であるが、ソニーでは1980年代前半に3.5インチフロッピーディスクドライブを搭載したワードプロセッサを発売したが、フロッピーディスクドライブそのものの普及や販売戦略として製造業者BへOEMとなるように働きかけており、この時「OEM供給」や「OEMビジネス」と言う表現が用いられている[7]。元来造語である言葉「OEM」は業者Bを表すものであったがデ・ファクトの用語であるがゆえに製造者、委託製造者、販売者、消費者のそれぞれの立場から「OEM」の解釈や用法が用語としても変化してゆく。

1980年代後半頃からコンピュータ製造業者C(以下「業者C」)に製造委託し販売業者D(以下「業者D」)が自社のブランドとする商品やその手法や両業者なども含めて用法としてOEM化、OEMをするOEM製品、OEM供給、OEM元やOEM先など多様化して用いられる。また「OEM」の「E」は「Equipment」と言われる装置や比較的大きな機器や機械を表すが「Equipment」と呼ぶに該当しないと考えられる機器、製品や商品分野にまで渡って幅広く用法や用語として定着してゆく。例えば自動車業界や市場においてOEM元やOEM先が用いられるが、完成した自動車を装置や機器と呼べるかは議論の分かれるところであろう。

尚、製造元の企業をOEM元、供給先の企業をOEM先と呼ぶことが多いが逆に製造の委託元の企業をOEM元、委託先の企業をOEM先と呼ぶ場合もあり、注意が必要である。 一方、日本においては一般的に用いられないがOriginal design manufacturer(ODM)の用語が有る。これは業者Cは設計から製造まで行い業者Dに提供することを主な業態とする場合やまたは業者Dが設計段階から全面的に業者Cに依存してその製品を購入し販売する場合は、業者CをOriginal design manufacturer(ODM)と呼んでいる。例えば、台湾の多くの半導体ファウンダリや半導体受託製造会社は「OEM元」と呼ぶより「ODM」と呼ぶべきであろう。特に国際市場で仕事をするビジネスパーソンはOEMやODMの峻別した理解や用法とすることが必要である。 近年では相互供給・OEM元とOEM先の逆転などの他、他社から供給を受けたOEM製品を他社ブランドで販売するためにさらにOEM供給する「二段OEM」とでもいうべき製品も見られる様になっている。

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